【イベントレポート】Web3 Development MTG #8「パブリックチェーンが切り開く未来〜プロトコル事業者が語る戦略と展望〜」2023.5.31

株式会社Ginco

【イベントレポート】Web3 Development MTG #8「パブリックチェーンが切り開く未来〜プロトコル事業者が語る戦略と展望〜」2023.5.31

概要

株式会社Gincoでは、Web3の普及と発展に向けて、「Web3 Development MTG」というイベントを開催しています。第8回を迎えた今回は「パブリックチェーンが切り開く未来〜プロトコル事業者が語る戦略と展望〜」を主題に、3つのブロックチェーンプロトコルに関わる方々をお招きして、それぞれの思い描く方向性や思想、今後について議論します。弊社Ginco代表取締役副社長の房安 陽平がパネルディスカッションのモデレータを務めました。このイベントレポートではその概要をダイジェストしてお届けしたいと思います。

登壇者のご紹介


房安氏:皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。Gincoはブロックチェーンインフラの会社です。実際にプロトコルの開発や普及に取り組む方々とお話をしており、このようにプロトコル同士で話し合う議論の場を作りたいと思っていました。ではさっそく登壇者の皆様から自己紹介をよろしくお願いいたします。

海老島氏:Astar Networkの海老島です。2018年よりブロックチェーン・Web3業界に参入し、当時はプレイヤー、投資家として関わっておりました。その後、2022年12月から現職についています。本日はStartale Labsという新しい会社なども紹介したいと思っています。よろしくお願いいたします。

平田氏:Ava Labsの日本代表をしている平田です。私のクリプト参入は2020年で、それまではいくつかスタートアップを何社か回り、自分でもクリプトのスタートアップをやりたいと思っていました。ですがインフラや規制などのハードルが高く、DeFiでの運用や興味のあったAvalancheの情報発信をしていたところ、運営会社のAva Labsから引き抜いていただき今に至ります。本日はよろしくお願いいたします。

松原氏:Oasys代表の松原です。2022年2月頃にゲーム専用チェーンとしてOasysを立ち上げました。ここ数年はエンタメ・ゲームに携わっており、Oasys以前はdoublejump.tokyoというブロックチェーンゲームを開発する会社やモバイルゲームを展開していたgumiに関わっています。さらにその前はアクセンチュアで証券会社関連の仕事をしていました。本日はよろしくお願いします。

房安氏:ありがとうございます。では早速ディスカッションを進めてまいります。

テーマ① ご自身のチェーンの組織構造、特色、狙っている市場など特徴は何ですか?


Astar海老島氏:Astarはグローバルでは45人ほどのメンバーがおりまして、32か国に分かれていて展開しています。日本人は4名おりまして、フルタイムメンバーは日本で私1人です。

中でも事業開発チーム、マーケティングチーム(日本と日本以外のチーム)、開発チーム、の3つの組織があります。

特定の市場をまだ見定めていませんが、汎用的に広く遍く使ってもらえるチェーンとなること、業界問わず日本に根ざして大企業様の導入チェーンとなることを目指しています。

チェーンの特徴としてはPolkadotと接続している点、EVM展開している点、この両面を備えているのが特徴で、この点でも方向性を模索しているところです。


AVAX平田氏:AvalancheのAva Labsは組織の数では約280名おりまして、ニューヨークを拠点に活動しています。日本人は4名、全部で6つの組織があります。

いくつかある市場の中でも特にゲームと金融に強く、チェーンのファイナリティが速い点を強みに勝負をしているところがあります。日本でも同じニーズがあるところを探しています。


Oasys松原氏:Oasysはフルタイムのコアメンバーが13、14名います。コアメンバーは少ないですが、関わっている人はトータルで100名ほどいます。

もともとdouble jump.tokyoから独立・派生した経緯もあり、その開発リソースの一部を使っています。

double jump.tokyoはブロックチェーンゲーム(BCG)を開発してきた会社ですが、2019年頃にDeFiが流行したことで遅くてガス代が高くて使えなくなってしまいました。そこで「他のユースケースに邪魔されない分野に特化しよう、ならばゲームのガス代ゼロ実現を目指そう」と判断し、Oasysが誕生します。

ユースケースに特化しスケーラブルで使いやすいブロックチェーンを実現するためにはレイヤー1(L1)だけでは厳しく、L2を展開する必要がありました。L1は分散性とセキュリティ、L2はスケーラビリティを担保する、という二重構造にしたことがOasysの特徴です。


房安氏:皆さん自己紹介ありがとうございます。早速最初の質問です。実際にご自身のチェーンを選んでもらうために企業様にはどのような説明をしていますか?


Astar海老島氏:AstarはAstarだけを使ってもらおうとはアプローチはしていなくて、色々なチェーンと一緒に使ってみるべきだと伝えています。もちろんAstarの強みとして「高いセキュリティ」や「クロスバーチャルマシーン」など技術的な優位性はあります。ただ、一番評価してもらっているのは、日本で活動していることでの信頼感です。まず色々と使ってみましょう、と提案をしています。


AVAX平田氏:Avalancheではすでにプロダクトが完成していて、最短10分で企業用の独自ブロックチェーンを立ち上げられる「サブネット」という機能を提供しています。他にもAWS、アリババ、テンセント、ボーダフォン、大手投資会社KKRさんなど大きなところとすでに話が進んでいます。

他との違いを説明する、というよりは「まず使ってみてください」と言っています。実際に試してもらった後になって問題が起きて、Avalancheにもどってくるケースがけっこうありました。営業をする、というよりもお客さんに寄り添うスタンスでいます。


房安氏:サブネットの機能からどうパブリック向けのメッセージングプロトコルに展開させていくのか、などを教えてもらえますか?


AVAX平田氏:企業様がレイヤー2チェーンを簡単に作ることができる機能のことを「サブネット」と呼んでいまして、最近よくある反応として、会社側がいざブロックチェーンを立ち上げたとしても、チェーン周りに他のウォレットなどのリソースが結局不足して、ちゃんとビジネスにならない、という声が聞かれています。そこまでやってほしい企業としてのニーズがあることを受けて、サブネットと組み合わせて使える「AvaCloud」というチェーン回りをサポートするサービスを立ち上げました。

今まだブロックチェーンで収益化できた事例がほとんどないと聞いていますので、Avalancheとしてはそこまでを一緒に歩んでいきたいと考えてます。


Oasys松原氏:企業は本来プロダクトのヒットを目指すものですから、ブロックチェーンはどれでもよい、と思っているところがあると思います。

例えば、EVM互換チェーンであれば、仮にOasysが無くなってもAvalancheやAstarで動かせばいいので、1つのチェーンに頼るのではなく互換性がある方が企業側にとってはメリットがあるでしょう。

そのうえで、私たちはゲームに特化しているという点が選ばれる理由に直結しています。例えば、「ゲーム用のwallet」などのように、OasysのUXを良くするエコシステムを構築し多くの人がそれを当たり前に利用できるようにすることで、ゲームに相応しいチェーンを目指しています。

また、代表の僕がこういったイベントの場にいるように、皆さんのゲームに寄り添い、一緒にマーケティングやプロモーションで盛り上げて、近い距離で泥臭いサポートをしていることも、ウリの一つです。

直近だと、6月末に「IVS京都」というかなり大きなイベントがありますが、そこでもブロックチェーンゲーム全体の盛り上がりに貢献できるよう、チーム全体で奔走中です。


房安氏:「IVS京都」は今までで一番大きな1万人規模のクリプトイベントになると言われていますが、Oasysさんが二条城でキャパシティ2000人のオフィシャルサイドイベントを行うそうですね。


Oasys松原氏:はい、6月28日にやる予定です。それをきっかけにマーケティングの補助もできるのでぜひお越しください。


房安氏:各プロトコルのポジショニングがわかってきました。そのうえで、今後プロトコルを取り巻く競争環境がどうなるのか?皆さんの考えを聞かせてください。


AVAX平田氏:1個のチェーンだけという考えはもう考えられないと思っています。

考えられる展開として「マルチチェーン」でそれぞれのチェーンの特徴を生かす流れはありそうです。そして、もう1つは「クロスチェーン」の通信規格が盛り上がること。例えば、サークル社の「CCTP」、チェーンリンクの「CCIP」、「レイヤーゼロ」、日本なら「DATACHAIN」これらがキーパートナーになっていて、そこが自分のチェーンに対応してくれるかどうかが重要です。

チェーンの普及とユースケースの普及は鶏卵論争ですが、やはりキラーコンテンツとなるユースケースが次なる経済圏の中心になるとは思います。その意味でも、よりよいユースケースが生み出される環境作りにコミットしたプロトコルと、プロトコルをしっかり有効活用できたプロダクトが生き残るでしょう。


房安氏:クロスチェーンのプロトコルが普及した場合、ウォレットの見え方はどうなるでしょうか?


AVAX平田氏:今後どのチェーンを使ってるかとかはもう関係ないインターフェースになっていくと思います。すでにそのように展開するサービスもいくつか登場しつつあるので、そのうち色々見えてくるのではと思っています。


房安氏:AstarはそれこそPolkadot、パラチェーンから最初始められてクロスチェーンの世界観をお持ちだと思いますがいかがですか?


Astar海老島氏:そもそもAstar自体「クロスチェーンメッセージングプロトコル」や「クロスバーチャルマシン」のコンセプトを打ち出していましたので、いかに他の異なるスマートコントラクトプラットフォームを繋げていくかがAstarの至上命題になっています。

PolkadotネイティブのチェーンとEVMチェーン、Rustベースで書かれたものとSolidityベースで書かれたものをどうやり取りするのか。これはAstarとしても注力分野ですので、クロスチェーン、マルチチェーンの未来は確実に来る未来だと思います。

きっと今後は特定のユースケースに最適なチェーンが出てきて、例えばゲームであればOasys、といったように、バーティカル(垂直)なデファクト(標準)チェーンが出てくるのではないかと思います。Astarとしてもそれは意識していて、どう繋ぎ込むかチャレンジを続けている段階です。


房安氏:AstarでもAstarGamesなどのゲームを出されていますが、ゲームマーケットはどう考えられているんですか?


Astar海老島氏:もちろんゲームは魅力的な市場だと考えていますし注力はしていますが、まだAstarのレイヤー1自体がゲームに適しているかというと技術的な進化や革新が必要です。コミュニティもボトムアップする提案を積極的に取り入れようという時期に差し掛かっています。


房安氏:Oasysは最終的にブロックチェーンはどうなっていくと思っていますか?


Oasys松原氏:ゲームを動かす基盤やプラットフォームというのは、家庭用ゲーム機などのコンソールが主流派を争った時代から、徐々にオンラインへ移行しプラットフォームの概念がインターネットに溶けていきました。ブロックチェーンゲームもこの流れを辿ると考えています。

つまり、直近の段階では、いいコンテンツ・いいゲームで流れを掴んだブロックチェーンが主流になるでしょう。ただ、その先の段階では、主流のブロックチェーンもそれ以外も皆等しくインターネットに溶けていくのではと見ています。

僕らはブロックチェーンがマスアダプションして、より面白いゲームが作れるようになることが第一ですから、それはそれでアリだと思っています。


房安氏:Oasysのような戦い方をしているチェーンはありますか?


Oasys松原氏:ないですね。「イミュータブルX」はありますが、彼らは配信機能をもっているような明確なゲームプラットフォームです。Avalanche、Polygonもゲームに力を入れていますが、汎用的なチェーンなので完全にゲーム特化はしていないと思います。

テーマ② 2021年から2023年に至るまで変化の激しいWeb3市場でしたが、プロトコル事業者の目線でどんな変化がありましたか?

Astar海老島氏:OPEN AIができたのはちょうど10年ほど前でした。そこから日の目を浴びずに開発し続けてきたかと思いますが、Web3も似たような流れをたどる気がしています。

2021年から2022年はものすごくPoC(概念実証)が実施された時期だったと思っています。そうした実証を踏まえて事例を作っている会社があり、冬だからこそどう生き残るか、どう会社の売上が伸ばすか、を本気で考えている会社と出会える環境かな、と。


房安氏:今業界は冬なんでしょうか?皆さんはどうお感じですか?


Astar海老島氏:見方によれば冬だと思います。今は新しい技術に目が行っている段階ですが、それでも数年前に比べれば多くの人の目にWeb3が止まっていると思っています。


Oasys松原氏:日本だけ盛り上がっているように感じますね。アメリカはFTX以降は「失われた何年?」に入りつつありますね。

今のWeb3業界はかつて1998年頃に2チャンネルやパソコン通信が流行った頃を彷彿とさせます。次に何が流行るかが分からない、けれど必ず何かが起こるだろうという状況ですね。

実際にその後何が起こったのかというと、ケータイ端末を中心に「iモード」「Ezweb」が登場して、その後「モバゲー」「グリー」が流行った。その後に「iPhone」が登場してきたんですよ。

ゲームの歴史になぞらえれば、まさにこれから「ドラコレ」「怪盗ロワイヤル」が出てくるフェーズに入るのではないでしょうか。


房安氏:STEPNはどれに当たりますか?


Oasys松原氏:「ドラコレ」「怪盗ロワイヤル」以前の何かだと思います(笑)

いったん今が冬かどうかの話に戻しますと、地域ごとに違うというのが率直な印象です。今更ですが「グローバル」という地域はありませんからね。現在は、アメリカが冷え込んでいる一方で、日本や香港が夏、ヨーロッパは保守的でそれより遅く、中華圏と東南アジアとインドが盛り上がってくるのではと思います。


房安氏:平田さんはどう思いますか?


AVAX平田氏:日本がホットなのは間違いないですし、今のお二人の意見に同意です。韓国、UAEのアブダビあたりも色々な話を聞きますし、アメリカは沈んでいるのは間違いないと思います。

日本でよく言われる規制が強いというのは逆に考えると、その規制に合わせれば真っ当に戦えるということなので、そのニーズを巻き取って実装に落とし込めるかどうか、というのも競争範囲だと思っています。

パブリックチェーンがひしめきあっている、という今のモデルから、自分たちでコントロールしやすいプライベートなもの、それでいてちゃんとインターオペラビリティ(相互運用性)がついていて、AvalancheやPolygonやETHに全部対応できるようにすることが重要ですね。

今出ている話題で多いのが、NFTなどの所有権が発生するものを企業が抱えていると、今までと同じデータベースになってしまうので、そこでNFTをパブリックチェーンに置いておくニーズが出てきます。

そこからNFTを使う瞬間だけは独自のプライベートチェーンの中で色々できる、そういう相互運用技術が出てきつつあります。ここにAvalancheも貢献している部分がありますが、このような技術面でのブレイクスルーも起きはじめてるのかなと思っています。


房安氏:ちなみに今韓国は盛り上がってるっておっしゃっていましたが、実際にどんな様子なのですか?


AVAX平田氏:実際に私はまだ行っていませんが、領域によって盛り上がっていると思います。韓国の大手メーカーがいよいよ本腰を入れてくる流れがあるので特に今盛り上がってるのかなと思います。


Oasys松原氏:私は韓国によく行くのですが、印象的なのは人口の割に取引量が多いことです。韓国は上場するとものすごい盛り上がるので、その後大手取引所にも上場しやすい流れがあります。もしもトークンを出したい場合は韓国経由で出すのがキーポイントかもしれません。

ゲームの話をすると、韓国には国の下に業界団体があってそこがブロックチェーンゲームを禁止しまいます。ですので、韓国の会社はブロックチェーンゲームを作っていても、皆国内向けではなく国外向けに作っています。

房安氏:もう1つAvalancheについてお聞きしたいのですが、Avalancheはニューヨークが本国ですが、本国が今冬となると戦略を変えないといけないなどの話は出ているのですか?


AVAX平田氏:いい質問ですね。Avalancheは「雪なだれ」という英語の意味で、冬に強いチェーンと説明しています。今年100名以上の社員を採用していますし、規制対応に強いプロトコルでもありますので、市場のパイは小さくなったことはあるとは思いますがそこまで冬をきつく感じていません。


房安氏:冬場がきつくないのは先ほど言ったサブネットを展開していることで、あまりクリプト相場と関係なく金融機関などのDXを推進しているからですか?


AVAX平田氏:そうですね。プライベートチェーン的な立ち回りもできますし、パブリックチェーンでの使い分けができる。こういう点は強みになっていると思います。

テーマ③ パブリックチェーンの浸透、利用拡大に向けて今後の取り組み、課題を教えてもらえますか。

Astar海老島氏:Astarは最終的にはDAOになることをずっと言ってきました。最終的にAstarの事業開発チームやエンジニアチームのメンバーが0人になっても、Astarトークンがちゃんとカウンシル(評議会)によって運営されるのがゴールのプロジェクトです。

今Astarが抱えている課題は何かというと、選択肢が多すぎるところかもしれません。レイヤー1上にアプリケーションを作る時に、例えばいろいろなサービスがあります。なので、これをレゴブロックのように組み合わせて作っていくために、Astarネットワークとしては今『スターテイルラボ』を使ってエンジニアたちが開発に使うツールを作ろうとしています。

ただ、かといって別に排他的になるわけではなく、いろんなサービスをコンポーネント化して、自分たちの設計で開発できるようにできれば便利になればよいと考えています。これがエンジニアに向けて考えている次のアプローチです。


房安氏:「AvaCloud」と似た垂直統合みたいなものでしょうか?


Astar海老島氏:「AvaCloud」さんのテスト環境はこれからリーディングするので、まだ見ていませんが、すべてのサービス、すべてのチェーンをAstarとつなげる、という「クロスバーチャルマシーン」という理念に則って、クラウドサービスにも似た開発ツールを作っていこう、というものです。


房安氏:Avalancheの今後の展開はどうですか?


AVAX平田氏:いま「AvaCloud」について触れていただきましたが、今企業というのは開発周りをすべてマネージしてほしいというニーズがあって、結局企業の立場からすると「Web3を進めたいけどステップが大き過ぎる」というのが正直なところだと思います。ですので、Web2.5でもWeb2.1でもいいくらいのステップが必要なのに、今あるインフラというのは、FireblocksやAlchemyをはじめ、値段が高い。これではよほどの体力を持った大企業でないと使うことができません。

そこでRPCノードも入れて安く使える値段にしてセットで提供できないか、という話が出てきている流れで「AvaCloud」が出てきています。そして、それを今何社か受け入れをして、これから事業拡大をしていく段階にあります。

また、AvalancheをDAOにするかについては難しい問題です。パブリックチェーンというのは公共インフラであるので、もしもブロックチェーンインフラ周りにニーズがあるなら、それだけをやる運用会社に切り替える、という選択肢も出ています。

今後のAvalancheでは、今Ava Labs運営が「AvaCloud」を立ち上げて、その上に「Ava Studio」を計画しています。これはAvalancheのブロックチェーンを公共サービスとして使ってもらい、その周辺のインフラをAWSのように展開したり、あるいはさらにその上のコンサル事業までを含めることも考えています。


房安氏:「Polygonスタジオ」と同じような流れですかね?


AVAX平田氏:そうですね。たぶん皆ここに行き着く気がしています。NEARプロトコルもそのようなものですね。


房安氏:Oasysさんの今後の展開はどうですか?


Oasys松原氏:実はAstarとAvalancheとほぼ同じことを考えています。「Oasys Cloud」・・・あ、今名前をつけました(笑)

ほぼ似たようなものですがそのゲーム用を考えています。ゲームのインフラで言うと、「Unity」や「Unreal Engine」などがありますが、Avalancheさんがやっていることを見てもらえれば次に我々がやろうとしていることもわかるかと思います(笑)「Ginco Cloud」はどうですか?


房安氏:Gincoも、ものすごい似ています(笑)

GincoはずっとWeb2.5でやってきているので、企業様の課題やオンチェーンに結び付けることに取り組んできてきた会社なので、今ウォレットとAPIのプラットフォームを展開していますが、今年の6月にAvalanche、Astar、Oasysの順番でチェーンの対応を予定しています。ブロックチェーンを普及させていくという思いは皆さんと一緒だと思っています。

今後OasysはDAOになるのか。Avalancheのような運用会社になるのか。どのようにブロックチェーンがインターネットに融けていくビジョンを持っていますか?


Oasys松原氏:DAOにする、と言っています。ただ、DAOというのも色々な定義があるので、Astarが先輩になると思います(笑)


房安氏:ちなみにAstarさんは今すぐにDAO化できない、そんなハードルはありますか?


Astar海老島氏:難しい質問ですね(笑)ただ、DAO化するにはまず「カウンシル」という合議制の組織を作って議論を決めなければいけません。あとは、Astar自体のトークンエコノミクスがまだ未熟なので、もうすこしブラッシュアップが必要という議論が出ています。最終的にはオンチェーンガバナンスですべて決定したいと考えています。その実装が完了していないのが課題と言えそうです。


Oasys松原氏:DAOについてですが、今はまだ全然皆がブロックチェーンを使っていないので、マスアダプションさせるには中央集権で行かなければいけないところがありますよね。グイグイと引っ張る力が必要であること、それと時期感とのバランス、これらがDAOを考えるには大事ではないかと思います。


房安氏:普及とビジネス推進というところに落としどころがあるということが分かりました。ありがとうございました。

今回は最後に企業様向けのソリューションで皆さんの目線があったこと、DAOや運用会社を目指すそれぞれの方向性の違いが面白かったです。ということで今回のディスカッション、クロストークを締めたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

まとめ

今回のWeb3 Development MTG Vol.8では、Astar Network、Avalanche、Oasys各々プロトコル運営者の方々から貴重な議論をお聞きすることができました。

今回特に印象的だったのは、プロトコル選びにはつい性能面や利用シェアなどに目が行きがちですが、それだけでなくプロトコルの持つ思想やビジョンも差別化するための重要な視点であることでした。また、今回は取り上げきれなかった質疑応答では、「自分以外にお薦めのチェーン、ライバルはどこですか?」「収益化のためのアドバイスは?」など聞き応えのある内容が盛り沢山でした。ご興味があれば今後開催されるDEV MTGにも足を運んでみてください!

弊社Gincoでは、ブロックチェーンの活用を検討されている企業様向けにブロックチェーン導入支援・コンサルティングサービス等を行なっております。もし、セミナー参加者様、本レポートをご覧になった方で興味・ご関心がございましたら、下記の弊社概要欄よりお問い合わせください。